『図解ポケット GX(グリーン・トランスフォーメーション)がよくわかる本』を読んだので、GX についてまとめてみる
GX とは
環境と経済をトレードオンの関係にすることが GX。環境関連の技術や仕組みに重点的に投資を行い、社会・経済の構造そのものを変革させることで、トレードオンの関係にすることを目的としている。
これまでは環境と経済成長はトレードオフの関係で、経済成長をしてきたが、地球温暖化に代表される気候変動などの環境問題が絶えない。
世界的にトレンドに
ダボス会議でも主要なテーマとして扱われるほど、環境問題の存在感は高まっている。
地球温暖化は促進していて、日本人はただただ最近暑くなったくらいの感覚だが、世界を見渡せば、竜巻の発生で建物や人も含め、甚大な被害が起こっている。氷が溶けて海水面が上がり、標高の低いツバルやキルバスといった島国は水没の危機にある。実際に移住を迫られた島国の地域も存在する。
環境問題は世界にとって今までで一番長く困難な問題だ、と言われている。
経済と環境はトレードオフの関係だったが、これからはトレードオンの状況を作っていくことが世界の重要命題となった。
日本でも行う意義がある
日本のエネルギー自給率は約 11%にとどまり、そもそもエネルギー政策は他国に依存している。他国の情勢が悪化し、輸入しづらくなると、簡単にエネルギー不足に陥る。近年ではロシアのウクライナ侵攻により、石油や天然ガスの供給が不安定となり、経済停滞の一因となっている。
経済安定化のためにも、エネルギー政策は重要な課題となっている。
GX を通じてエネルギーを安定的に供給するためには、イノベーションが欠かせない。そのイノベーションによる国際競争力の向上も、日本が取り組むメリットの一つでもある。
そのため、再生可能エネルギーの開発だったり、省エネだったり、排出した CO2 の吸収だったりといった、GX に取り組む機運が高まっている。
人間の活動による炭素の排出と、森林管理・植林や炭素回収技術などによる炭素吸収を差し引きしてゼロにしましょう、というカーボンニュートラル。このカーボンニュートラルを達成するために、日本は産官学が一体となって GX に取り組んでいる。
研究を進め、仕組みを整え、活用する。これらが一つでも欠けたら進みは遅くなる。国全体で取り組む意義がある。
GX に取り組むメリット
地球環境に貢献できるのはメリットとしてもちろんある。
また、GX を率先して行うとブランドイメージが向上して、企業はお金が集まりやすくなったり、お金が集まるとさらに先進的な技術を試しすことができ、そのおかげでさらに GX に取り組みブランドイメージを向上するなど、好循環を生みやすい。
先進的な技術の例で言うと、川崎市のつながループという取り組みは、家庭で出た生ゴミから堆肥を生成した量に応じて NFT に変換し、環境貢献活動が実際にメリットに繋がるような仕組みを運用している。
また、排出される CO2 の量に応じて税金を課すなど、環境保全に反する活動を行うとデメリットがあるような仕組みが制定されている。
感想
イノベーションのきっかけは困りごと、という文章を見たが、まさにその通りだなと。生死に直結する戦争では、技術革新が起きやすい。これからは世界的な問題による技術革新が増えてきそうだと感じている。ブロックチェーンも GX に活用されているし、Jera は「CO2 が出ない火を作る」など、技術的な進歩が今後予想される。
個人的には、GX を知ることが出来て良かった。GX というワードを本書で初めて見たが、これほど日本、そして世界が取り組んでいるとは知らなかった。また、そこにどんな技術が関係しているのかも。今後、GX に関するニュースを見たときに、より理解できるようになった。
GX に今後も注目していきたいし、これに関われる仕事に取り組める機会があったら挑戦してみたい。